本日のブログは,前回の販売代理店契約に関するブログの続きです。
前回のブログでは,販売代理店契約とは,厳密には販売店契約と代理店契約とに区別されること,販売店契約と代理店契約との根本的な違いなどについてご説明しました。
販売店契約と代理店契約との違いは,他にもあります。
1 販売店契約と代理店契約との在庫リスクの違い
まず,販売店契約では,販売店が大元の事業者からある製品を購入し,その後に第三者に対して販売をするわけですから,購入した製品が売れなかった場合の在庫リスクを販売店が負うことになります
他方,代理店契約の場合,実際の売買契約の当事者は,大元の事業者と第三者になり,代理店は大元の事業者から製品を購入する義務などを負わないため,在庫に関するリスクを負いません。
もっとも,在庫に関するリスクについては,第三者から製品の申し込みがあった場合に,申込数の分だけ,大元の事業者と販売店の間で購入をするとして,在庫リスクを軽減する手法もあります。
2 支払リスク
販売代理店契約の場合,上記のとおり,販売店と第三者との間で売買契約が締結されますから,製品の対価の支払いは,第三者から販売店に対して行われます。
そのため,第三者が製品を購入したものの,製品の代金を支払うことができないといった支払に関するリスクは販売店自身が負うことになります。
他方で,代理店契約の場合には,直接の契約関係は,大元の事業者と第三者との間で締結されるため,製品の代金支払いに関するリスクを負うのは代理店ではなく,大元の事業者となります。
3 代金の決定
販売店契約の場合には,販売店が第三者に製品を売るため,代金の決定は販売店自身が行います。
他方で,代理店契約の場合には,あくまでも大元の事業者と第三者との間の契約になりますから,代金の決定は,大元の事業者が行うことになるでしょう。
4 おわりに
本日のブログは以上になります。
私が弁護士業務を行う名古屋でも販売代理店契約という言葉を耳にする機会は多くあります。
両者のメリット,デメリットを比較し,取引の実態に即した適切な契約を締結することが肝要でしょう。