外国人と自動車運送業

こんばんは、名古屋で国際業務を取り扱っている弁護士の井川です。

今回は、在留資格「特定技能」に新たに加わった自動車運送業について解説します。

1 自動車運送業における外国人雇用の現状

深刻な人手不足に直面している自動車運送業界では、物流需要の更なる増加に対応するために、外国人労働者の雇用が重要な課題とされていました。

そのような中で、自動車運送業が特定技能制度の対象分野に追加され、トラックドライバーや配送業務に従事できる外国人人材の受け入れが可能になり、業界に新たな人材確保の道が開かれました。

これにより、特定技能試験の実施や関連する研修制度の整備が進み、多くの企業が外国人人材の採用を検討しています。

2 自動車運送業にて採用可能な主な在留資格

⑴ 技術・人文知識・国際業務

在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、専門的な知識やスキルを活かした業務に従事する外国人向けの資格で、物流ルートの最適化やシステム管理、海外顧客やパートナー企業との交渉、貿易関連の書類作成や業務調整など、自動車運送業では、主に物流管理や海外取引関連の業務で活用されます。

この資格では、トラック運転手などの現場作業には従事できないため、管理業務を中心に採用するケースが一般的であることに留意が必要です。

⑵ 特定技能

在留資格「特定技能」は、自動車運送業界での即戦力となる外国人労働者を受け入れるための在留資格です。

本在留資格では、最大5年間の就労が可能で、また、現場での業務に直接従事できるため、多くの企業がこの資格の活用を検討しています。

3 外国人人材の受入

外国人人材を受け入れる企業には、一定の要件が求められます。

例えば、適切な労働環境の整備や外国人人材への生活支援が必要になることがあります。

また、運送業務には日本の交通法規や文化への理解が欠かせないため、雇用前に十分な教育や研修を行う体制が求められます。

こうした要件をクリアすることで、企業は安心して外国人を受け入れることが可能になります。

出入国在留手続業務における弁護士の役割

1 弁護士による出入国在留手続

弁護士は、日々、数多くの法律業務、法律事務を取り扱っていますが、出入国在留手続業務に従事している弁護士の数は多くはありません。

もっとも、出入国在留手続は、日本に入国して在留したいと希望する外国人の方にとっては必要不可欠な手続きであり、法律の専門家である弁護士がそのような外国人の方の手続き支援をすることは重要なことであると考えられます。

また、出入国在留手続は、行政書士の業務分野という認識が一般的でありますが、日本在留中のトラブル(交通事故や離婚、労務問題など)への対応などを考慮すると、出入国在留手続の初期の段階から信頼できる弁護士を見つけておくことは在留中の安心につながるかと思います。

2 弁護士が出入国在留手続を行うには

弁護士が、外国人の方本人に代わって出入国在留手続の申請手続きを行うには、所属する弁護士会を通じて、地方出入国在留管理局に対して届出を行う必要があります。

届出を行っていない弁護士が、本人に代わって申請手続きを行うことはできませんので、出入国在留手続を弁護士に依頼しようとする場合には、当該弁護士が届出済の弁護士であるかどうかを確認する必要があります。