景品表示法②

景品表示法の制定

前回ブログで景品表示法制定前の広告規制や景品表示法という特別法が必要と有力に唱えられるようになった背景などをご紹介しました。

このような流れの中,昭和37年,いよいよ景品表示法が制定されたのです。

景品表示法では,これまで独占禁止法によって規制されてきた過大な景品類の提供や,虚偽・誇大な広告表示を規制していますが,規制の目的として消費者の保護の観点を重視しているところが従来の独占禁止法による規制とは異なるところと言えるでしょう。

独占禁止法は,市場における公正かつ自由な競争を促進することを目的としており,これを阻害するような不当な景品類の提供,不当な広告表示を規制しています。

これに対して,景品表示法では,「商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため,一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより,一般消費者の利益を保護することを目的とする」(景品表示法第1条)として,一般消費者の利益保護を重視しています。

平成21年には,消費者庁が設置され,景品表示法の所管庁となり,一般消費者の利益保護を重視する流れは今日にも続いています。

景品類や表示については,名古屋に住んでおられる一般消費者の方にとっても遠い存在ではなく,景品や広告を見る際にはこのような法律があることを意識してみてはいかがでしょうか。

本日のブログは以上になります。

景品表示法①

景品表示法制定以前の広告規制

昨今,広告に対する規制が厳しくなってきており,広告規制に関する弁護士への問合せも増えています。

広告に関する規制法として有名なのが,不当景品類及び不当表示防止法(一般に景品表示法,景表法などと呼ばれています)です。

景品表示法の制定前の昭和20年代後半から,日本経済は自由協商を基調とする事業者間の販売競争が激しくなり,業種によっては,販売品に景品等を付けることで,販売拡大を行おうとする傾向が強くなってきました。

この時代の,不当な景品の提供や不当な広告・表示による顧客誘引行動については,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(一般的に独占禁止法,独禁法などと呼ばれています)によって不公正な競争方法として規制の対象とされていました。

景品表示法制定の背景

ところが,昭和30年代に入り,技術革新による大量生産体制が進展すると販売競争の激化に伴って虚偽・誇大な広告等が横行するようになり,そのような虚偽・誇大な広告等から一般消費者を保護するという新しい観点からの特別法の制定が望まれるようになりました。

昭和35年に発生した「ニセ牛缶事件」(一般に市販されている牛肉の大和煮等と表示されている缶詰の大部分に馬肉や鯨肉が混入されており,牛肉を100パーセント使用している企業はわずかであったことが判明した事件)をきっかけに虚偽・誇大な広告等から消費者を保護しようとする観点は,さらに有力に唱えられるようになったのです。

次回も景表法についてお話させていただきます。

本日のブログは以上です。